環 境
環境保全型交通体系(EST)事業
アジアは21世紀の間に著しい経済成長を達成すると見込まれており、その経済成長に伴い、交通関連のサービス・活動が増加し、環境にも深刻な影響をもたらすことが予想されます。アジア諸国の殆どは、交通に起因する、深刻な社会・経済・環境問題(自動車による大気汚染と公衆衛生・環境に対するその影響、騒音、交通渋滞とそれによる経済的損失、エネルギーの非効率的な消費、再生不可能な化石燃料の消費増、生息環境の消失)を抱えています。また、自動車の単体規制の不足、適切なインフラの未整備、および有効な政策手段の欠如が懸念となっているのにくわえて、交通需要の増加や都市化といった現象もこの問題をアジアにおいてより深刻なものとしています。
2003年3月に開催された「交通と環境に関する名古屋国際会議」は、各地の状況に適した明確な環境目標や(目標達成のための)タイムテーブルを設定すること、また社会・経済発展を保証しながら、目標を達成するための手段を明示することを進言しました。これは、経済成長や都市化のサイクルが比較的短く、それ故、有効な手段を迅速に実施することが緊急に必要な、開発途上国にとって特に重要です。
アジアの社会経済的ニーズに、交通活動は必要不可欠であるものの、これらのニーズと環境保全の必要性のバランスを取ることこそが、EST(Environmentally Sustainable Transport:環境保全型交通体系)の概念の根底にあるべきだと思われます。一般的に、ESTは、将来の世代が自らの欲求を充足する能力を損なうことなく、今日の世代の欲求を満たすような交通体系であると解釈されています。ESTには、単一の、共通の定義はないものの、ESTの概念は、社会・経済・環境面における成果目標を達成するための交通体系・活動を中心に据えたものとするべきです。
上記の状況、及び「交通と環境に関する名古屋国際会議」の成果を踏まえ、UNCRD(国際連合地域開発センター)は、日本の環境省及び国土交通省、各国政府、関連(国家、国際)機関と連携し、一連の活動を通して、ESTの推進に寄与したいと考えています。具体的には、国家・地方レベルでの行動を促進するための適切な政策パッケージの策定・促進、よりクリーンで効率的な技術の適用、国際協力、教育、広報活動の強化等の活動を予定しています。また、上記の成果目標を達成するために、UNCRDは、国家レベルでのEST戦略兼5ヵ年行動計画の策定に必要とされる専門的サポートや助言の提供を促進し、動員する予定です。
UNCRDの戦略・事業計画は、大きく次の五つの項目に分かれています。
- アジア型EST実現に向けた課題及び戦略目標の調査
- 特定国を対象とした、国家EST戦略兼五ヵ年行動計画の策定
各国の様々な関係主体(ステイクホルダー)を巻き込んだ、EST実現のための短・長期の到達目標、約束事項、活動、措置を明記した行動計画。(注:長期的なインフラ開発・建設が必要であると判断される国の場合、第2フェーズとして、最初の五ヵ年計画に続く、第2次五ヵ年計画の策定も想定される。) - アジア・イニシアティブ
アジアにおける大気環境基準、燃料品質基準、排ガス検査、中古車の輸出入管理等の調和及び協働に向けた、アジア・イニシアティブの実施 - ハイレベルの政策会議の開催
- アジア型ESTに関する情報センターの設立
開発途上国に対するアジア型ESTに関する情報の提供 - EST戦略兼五ヵ年行動計画の実施に関する進捗状況の把握とドナー機関の発掘
