第1回 「都市環境と交通」集団研修コース
2004年11月8日 - 12月17日
名古屋ほか

ここ数十年の間に、世界の多くの都市では工業化や都市化による著しい人口増加や経済発展がみられました。この急速な成長は交通機関への需要拡大を引き起こしましたが、多くの都市では適切な計画なしに開発が進められ、必要とされるインフラ設備やサービスの提供が追いつかない状態にあります。 この結果、多くの都市では、自動車による大気汚染とそれに付随する公衆衛生の悪化、騒音、交通渋滞とそれに伴う経済損失、再生不能な化石燃料などエネルギー資源の非効率的な使用、自然の生息環境や土地資源の喪失等、交通に関連したさまざまな社会経済及び環境問題に直面しています。

こうした背景のもと、UNCRDは独立行政法人国際協力機構(JICA)との共催で、2004年に「都市環境と交通」に関する5年間の集団研修コースを開設しました。 このコースは、環境面から見た持続可能な交通(EST: Environmentally Sustainable Transport)の概念を理解するとともに、研修生相互の考え方・経験を交換し、また日本の経験から学ぶ機会を提供することを目的としています。

2004年11月8日から12月17日までに実施された第1回研修では、8ヶ国(ボスニア・ヘルツエゴヴィナ、カンボジア、インドネシア、モロッコ、タイ、ウズベキスタン、ベネズエラ、ヴェトナム)から都市環境と交通の各分野に従事する中央政府及び地方政府の中堅行政官ら9名が参加し、講義や現地視察、演習を通じてESTの様々な戦略(自動車排出ガス測定・監視システム、車両排ガス規制基準、点検設備、燃料規制、交通需要マネジメント、交通騒音対策、土地利用と交通計画、道路整備維持管理と安全対策、環境意識の啓発等)を学びました。 具体的には、講義や演習のほか、現地視察(愛知県交通管制システムや鎌倉市の交通政策、東京都の大気汚染モニタリングシステム、高速道路の環境対策、豊田市のITS、中部運輸局の車検施設、圧縮天然ガス燃料供給施設、ガイドウエイバスシステムなど)を実施しました。

自国のもつ課題を明確化し必要な対策・戦略についてのアイデアを生み出すことをねらいとした今回の研修では、都市環境の保全にむけて既存の交通システムを改善するための総合計画の作成、特に環境に直接的に影響を及ぼす交通需要マネジメントと長期的視野で環境に考慮したインフラ整備にむけての土地利用計画の必要性について関心が集まりました。歴史的遺産の保護と交通渋滞の緩和という問題解決にむけて取り組んでいる鎌倉市の視察の際には、交通問題の解消だけでなく、都市環境マネジメントとしての交通政策について実質的な取り組みを知る機会を得ました。

研修の最後に、個々のアクションプランが作成され、今までの演習や講師からの助言に基づいた独自のアイデアが具体的に提示されました。 プランの中には、都市部への車両進入規制のためのパーク&ライドシステムの導入や車検制度の見直し、ITSによる道路情報システムの構築、環境に配慮した燃料へのシフトなどが盛り込まれ、多方面での他部署との横断的な協力体制の重要性がうたわれていました。

交通需要の増大は社会経済的に不可欠であるが、それはまた環境保全と調和していかなければならなりません。 研修生には、このESTの根幹概念を心に刻み、それぞれが抱える問題への解決方法を持ち帰り、EST実現のため積極的に取り組んでいくことが期待されています。

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