第2回 人間の安全保障を重視した地域開発プロジェクト形成研修
2006年10月23日 - 12月2日
名古屋、大分ほか

UNCRDは、独立行政法人国際協力機構(JICA)と共催で、途上国の最も脆弱な人々を対象とした地域開発プロジェクトの裨益効果を向上させることを目的として、2006年から標記研修コース(全5回)を実施しました。 第2回(平成18年度)となる今回の研修には、フィリピン、ラオス、ミャンマーの3カ国から地域開発に関わる計9名の行政官および非政府組織職員が参加しました。

開発途上国では、経済発展が重視されるあまりに開発の負の影響が計画の段階で十分に考慮されず、地域住民(特に脆弱な人々)のニーズに合っていない計画が進められている例が数多くみられます。 そして開発の負の影響はしばしば社会の最も脆弱な人々に、より大きな被害をもたらします。

こうした背景から、この研修では特に、地域開発プロジェクトの立案過程に焦点を当て、人間の安全保障の視点から、 (1)現状の開発政策やプロジェクトの課題を明確化し、 (2)より効果的な開発プロジェクトの立案に必要な知識や技能を修得し、 (3)地域開発プロジェクトの効果向上の為の行動計画を作成することが目標とされました。

研修では、人間の安全保障についての基礎概念や考え方が紹介されたほか、グローバル化の影響や、持続可能な生計、自然資源管理、災害リスク管理、内発的発展の事例、移動する人々の脆弱性、大規模開発プロジェクトと移住の影響、紛争管理、参加型農村調査法(PRA)やプロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)などのテーマについて講義・演習と現場視察が行われました。 講義・演習では、国連難民高等弁務官事務所やJICAなどの援助機関や、地方自治体、大学、企業、NGOなどから幅広い講師を招き、積極的な議論が連日行われました。視察では、大分県の一村一品運動などの農村地域振興の取り組みや農業協同組合の活動、生活改善運動の紹介、湯布院(大分)や足助(愛知)の観光振興と地域づくりの事例、知多(愛知)の障害者による農業・加工活動現場などを訪れました。

特に日本の大分が発祥の一村一品運動は、地元の資源を利用し、地元の特性を活かした地域活性化の方策として、東南アジアやアフリカ諸国でも広がっており、研修生から非常に高い関心を集めました。

研修の最後には、研修生が各々のアクションプランを作成・発表しました。 取り上げられたテーマは、「農民の生計に配慮した焼畑の管理」「元ケシ農民の内発的生計向上」「一村一品運動を含めた脆弱な共同体での起業支援」「能力向上を通じた担当プログラムへの人間の安全保障の導入」「人間の安全保障を重視したモニタリングと評価の枠組み作成」など多岐に渡るものでした。上記アクションプランの進捗状況についての報告書も帰国後に提出することになっています。

研修生は、この研修を通じて、人間の安全保障に関する問題により効果的に対処できるようになったと感じており、研修で学んだ知識や技能が職務に役立つものだったと評価しています。 一方で、開発計画を進める上で必要な資金調達の戦略や、政策決定者の意識向上などについても議論がなされるべきであるとの指摘もありました。

この研修成果を活かし、今後の地域開発プロジェクトの実施や形成に人間の安全保障の視点を盛り込むことによって、より地域の人々の為になる地域開発を進めることが出来るようになることが期待されています。

Copyright(C) 2001-2017 United Nations Centre for Regional Development - Nagoya, JAPAN | ご利用規定 | プライバシーについて | お問合せ | サイトマップ