第37回 地域開発国際研修コース (2009)
2009年05月14日 - 06月24日
名古屋、神戸、東京ほか

本研修コースは、開発途上国で地域開発に携わっている国や地方自治体等の中堅職員を対象に、地域開発戦略のための知識や技術の習得、ならびに日本を始め各国の地域開発経験の交流を図り、視野拡大の機会を提供することを目的として、1971年の設立以来毎年春に開催されているものです。

持続可能な地域開発の究極的な目標は、地域住民の福利厚生と安全を確保することです。このような目標は、地域に最も密着した地方自治体・地域社会・地域住民等が主体となり、適正な役割分担・協力体制を構築することを通じて達成されます。第37回目を迎える今回のコースでは、「持続可能な地域開発」をテーマに、人間の安全保障、環境マネージメント、防災管理に焦点を当て、開発の課題と戦略を検討することによって、開発途上国の国や地方自治体等の職員の能力の向上を図りました。

今回の研修プログラムは6つのモジュールから構成されており、講義、ディスカッション、ケーススタディ、さらには日本の経験、特に中部地方の実例に学ぶための現地視察を行いました。研修生自身もリソースパーソンとなり、自国の地域開発の課題や自らの職務に関する問題点、それらの解決に向けての取り組みについての発表を行うことで、より一層の知識や経験の共有化を図りました。各モジュールの内容は以下の通りです。

  1. 持続可能な地域開発と人間の安全保障:
    持続可能な開発を妨げる経済的、環境的、社会的、文化的な脅威に対してコミュニティの抵抗力を強化させるための人間の安全保障の概念やその重要性について、さらには人間の安全保障を確保するアプローチとして内発的地域開発について理解を深めました。また実際に岐阜県郡上市明宝を訪れ、人間の安全保障の概念や内発的地域開発の手法が、地域開発のためのプログラムやプロジェクトの計画や実施にどのように反映されているかを学びました。

  2. 環境マネジメント:
    持続可能な地域開発を推進するために不可欠な環境マネージメント、とりわけ3R(リデュース、リユース、リサイクル)、持続可能な生産と消費ならびに環境保全型交通体系に焦点を当て、その重要性を再確認した上で、具体的な施策や取り組みについて検討しました。民間のリサイクル工場では生ごみやプラスティック容器のリサイクルプロセスについて、トヨタ自動車(株)では環境負荷を減少させるための産業環境マネージメントや環境保全型交通体系について、学びました。

  3. 防災管理:
    阪神淡路大震災(1995年)の経験や教訓、震災後の防災・復興事業について学ぶため、兵庫県庁、神戸都市問題研究所、人と防災未来センター、アジア防災センター、環境防災科のある兵庫県立舞子高校、北淡震災公園を訪問・視察しました。途上国で頻発する災害や防災について意見交換を行い、コミュニティレベルでの防災の重要性を再認識しました。

  4. 日本における地域開発:
    日本における地域開発の歴史および現在の課題や問題点について学ぶことを目的としたモジュールです。実際に愛知県庁、名古屋市役所、テクノプラザおかや(岡谷市)、小布施町役場、名古屋港管理組合を訪れ、現場を視察するとともに、地方自治体や現地に根ざした企業と地域振興や活性化に関する意見交換を行い、日本における地域開発の課題を整理し問題解決のための方向性を検討しました。

  5. 住環境整備:
    人間の安全保障、環境マネージメント、防災管理を横断的に取り扱うこのモジュールでは、東京都墨田区、岐阜県郡上市八幡、高蔵寺ニュータウンの3つの住環境整備の事例を取り上げ、実際に現地を訪れ、それぞれの生活環境について安全性、保健性、利便性、快適性、持続可能性の5つの観点から分析し、住環境整備、改善、および保全・活用のための施策について検討しました。又、実際に現場で取り組んでいる地方自治体関係者や地域住民の生の声を聞くことで、住民主導のまちづくりの重要性やそのための手法について学びました。

  6. 総括:
    コース全体の総括を行い、各モジュールで学んだ地域開発の知識や手法を反映させながら、研修生が自らの職務における問題点や課題を解決していくためのアクションプラン(行動計画)を作成し、その発表を行いました。作成にあたっては、他の研修生やUNCRDスタッフとの議論やアドバイスを参考に、より具体的で実行性の高いプランを目指しました。「ダッカ市における震災軽減(バングラデシュ)」、「モンゴルにおける地域に根ざしたコミュニティ開発」等のアクションプランが作成されました。


このほか研修生は、国連支援交流協会東海名古屋支部によるフレンドシッププログラムにも参加しました。研修修了時に実施した研修評価会では、研修生達からは「日本の地域開発やまぢづくりの事例を通じて、持続可能な地域開発についての理解を深めることができた」といった感想や意見が多く聞かれ、研修目的は概ね達成されたとの評価を得ることができました。

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