第35回 地域開発国際研修コース (2007)
2007年05月17日 - 06月27日
名古屋ほか

持続可能な地域開発の究極的な目標は、地域住民の福利厚生と安全を確保することです。 このような目標は、地域に最も密着した地方自治体・地域社会・地域住民等が主体となり、適正な役割分担・協力体制を構築することを通じて達成されます。
第35回目を迎える今回のコースでは、「持続可能な地域開発」をテーマに、人間の安全保障、環境管理、防災管理に焦点を当て、開発の課題と戦略を検討することによって、開発途上国の国や地方自治体等の職員の能力の向上を図りました。研修には、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、コロンビア、エチオピア、ネパール、ラオス、トンガ、ジンバブエの9カ国9名に加え、協同研修生として、愛知県庁、名古屋港管理組合から各々1名、合計11名が参加しました。今回の研修は6つのモジュールから構成されており、講義、集団討議、事例研究、さらには日本の経験、特に中部地方の実例に学ぶための現地視察を行いました。研修生は、自国の地域開発の課題や自らの職務に関する問題点、それらの解決に向けての取り組みについての発表を行うことで、より一層の知識や経験の共有化を図りました。 各モジュールの内容は以下の通りです。

  1. 人間の安全保障:
    持続可能な開発を妨げる経済的、環境的、社会的、文化的な脅威に対してコミュニティの抵抗力を強化させるための人間の安全保障の概念やその重要性についての理解を深め、そうした概念を地域開発計画にいかに反映させるかについて学びました。さらには事例研究を通じて、人間の安全保障の観点から自国の住民が直面しているさまざまな脅威の内容やその対応行動を分析し、コミュニティの抵抗力の強化についての検討を行いました。

  2. 環境管理:
    持続可能な地域開発を推進するために不可欠な環境管理、とりわけ3R(リデュース、リユース、リサイクル)、持続可能な生産と消費ならびに環境保全型交通体系(EST)に焦点を当て、その重要性を再確認した上で、具体的な施策や取り組みについて検討しました。名古屋市の廃棄物処理施設や民間のリサイクル工場では日本のごみ処理やリサイクルについて、トヨタ自動車(株)では環境負荷を減少させるための産業環境管理やESTについて学びました。

  3. 日本における地域開発:
    日本における地域開発の歴史および現在の課題や問題点について学ぶことを目的とした単元です。実際に名古屋港管理組合、愛知県庁、名古屋市役所、テクノプラザおかや(岡谷市)、セイコーエプソン(株)、小布施町役場を訪れ、現場を視察するとともに、地方自治体や現地に根ざした企業と地域振興や活性化に関する意見交換を行い、日本における地域開発の課題を整理し問題解決のための方向性を検討しました。

  4. 防災管理:
    UNCRD防災計画兵庫事務所が単元の企画と運営を担当、兵庫県や神戸市での阪神淡路大震災(1995年)の経験や教訓、震災後の防災・復興事業について学ぶため、兵庫県庁、神戸市役所、人と未来防災センター、アジア防災センター、環境防災科のある兵庫県立舞子高校を訪問・視察しました。途上国で頻発する災害や防災について意見交換を行い、コミュニティレベルでの防災の重要性を再認識しました。

  5. 住環境整備:
    人間の安全保障、環境管理、防災管理を横断的に取り扱うこの単元では、東京都墨田区、岐阜県郡上市八幡、高蔵寺ニュータウンの3つの住環境整備の事例を取り上げ、実際に現地を訪れ、それぞれの生活環境について安全性、保健性、利便性、快適性、持続可能性の5つの観点から分析し、住環境改善・保全・活用のための施策について検討しました。また、地域ならびに住民主導の開発の重要性について考え、実際に現場で取り組んでいる地方自治体関係者や地域住民の生の声を聞くことで、地方自治体と住民の協働のための手法を学びました。

  6. 総括:
    研修全体の総括を行い、各単元で学んだ地域開発の知識や手法を反映させながら、研修生が自らの職務における問題点や課題を解決していくための行動計画を作成し、その発表を行いました。作成にあたっては、他の研修生やUNCRD職員との議論や助言を参考に、より具体的で実行性の高い計画を目指しました。「ビエンチャン市の中学校における生徒のごみの分別参加の推進(カンボジア)」、「メデレン市の経済活性化戦略(コロンビア)」や「オロミヤ州におけるNGO活動の標準化のための政府ーNGOフォーラム(エチオピア)」等の行動計画が作成されました。


このほか研修生は、開発の背景にある日本の生活・文化や日本人について理解を深めるため、東知多ロータリークラブによる文化交流会にも参加しました。研修修了時に実施した研修評価会では、研修生達からは「持続可能な地域開発についての重要性を再認識した」「人間の安全保障の概念についての理解が深まった」「講義や視察、事例研究を通じて学んだ日本や他の開発途上国の地域開発の経験は、自国の問題解決に大変役に立つと思う」といった感想や意見が多く聞かれ、研修目的は概ね達成されたとの評価を得ることができました。
UNCRDでは今後、研修生が作成した行動計画の実現を支援するため、現地でのフォローアップセミナーを計画しています。

Copyright(C) 2001-2017 United Nations Centre for Regional Development - Nagoya, JAPAN | ご利用規定 | プライバシーについて | お問合せ | サイトマップ