第34回 地域開発国際研修コース (2006)
2006年05月18日 - 06月28日
名古屋ほか

UNCRDでは、開発途上国で地域開発に携わっている政府や地方自治体等の中堅職員を対象に、地域開発戦略のための知識や技術の習得、ならびに日本を始め各国の地域開発経験の交流を図り、視野拡大の機会を提供することを目的として、1971年の設立以来毎年春に国際研修コースを開催しています

第34回目を迎える今回の研修では、人間の安全保障、環境マネジメント、防災管理に焦点を当て、日本の地域開発や様々な住環境の整備の事例を参考に開発の課題と戦略を検討することによって、開発途上国の地方自治体等職員の能力の向上を図りました。 テーマである「持続可能な地域開発」の究極的な目標は、地域住民の福利厚生と安全を確保すること、という考えに基づき、地域に最も密着した地方自治体・地域社会・地域住民等が主体となった適正な役割分担・協力体制を目指すもので、研修の導入部分では、国連社会経済統治管理部長から政策評価手法についての講義が行われたほか、UNCRDラテンアメリカ事務所、アフリカ事務所から各地域における持続可能な地域開発についての講義が行われました。

研修には、ブータン、カンボジア、コロンビア、エチオピア、ケニア、ラオス、モンゴル、タイ、ベトナムの9カ国9名に加え、協同研修生として、愛知県庁、名古屋港管理組合から各1名が参加しました。 今回の研修では、6つのモジュールに分けて、講義、ディスカッション、ケーススタディ、さらには日本の経験、特に中部地方の実例に学ぶための現地視察を行いました。 また、研修生自身も自らの経験を紹介しつつ、自国における地域開発の課題や自らの職務における問題点、それらの解決に向けての取り組みについての発表を行い、より一層の知識や経験の共有化を図りました。 各モジュールの内容は以下のとおりです。


  1. 人間の安全保障:
    人間の安全保障の概念についての理解を深め、そうした概念をいかに地域開発計画に組み込み実施することにより、持続可能な開発を妨げる経済的、環境的、社会的、文化的な脅威に対抗したり、社会的弱者の自立を促したりすることを学びました。 また、グループでの事例分析などを通じて、人間の安全保障の観点から自国の住民が直面しているさまざまな脅威の内容やその対応行動を分析、検討を行いました。

  2. 環境マネジメント:
    持続可能な生産と消費ならびに環境保全型交通体系に焦点を当て、持続可能な地域開発を推進するために不可欠な環境マネジメント、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の重要性を再確認した上で、具体的な施策や取り組みについて検討しました。 日本の事例では、名古屋市の廃棄物処理施設や民間のリサイクル工場では日本のごみ処理やリサイクルについて、トヨタ自動車(株)では環境負荷を減少させるための産業環境管理や環境保全型交通体系について学びました。

  3. 防災管理:
    UNCRD防災計画兵庫事務所を中心として、兵庫県庁、神戸市役所、人と未来防災センター、アジア防災センター、環境防災科のある兵庫県立舞子高校を訪問・視察しました。 兵庫県や神戸市では阪神淡路大震災(1995年)の経験や教訓、震災後の防災・復興事業などについて学び、災害予防を取り入れた持続可能な開発について意見交換を行い、コミュニティレベルでの防災の重要性を再認識しました。

  4. 日本における地域開発:
    今回、新しく取り入れたモジュールで、日本における地域開発の歴史ならびに現在の課題や問題点について学びました。 現地視察として、愛知県庁、名古屋市役所、テクノプラザおかや(岡谷市)、セイコーエプソン(株)、小布施町役場、名古屋港管理組合を訪れ、地方自治体や現地に根ざした企業と地域振興や活性化に関する意見交換を行い、地域開発における課題を整理し問題解決のための方向性を検討しました。

  5. 住環境整備:
    アジア各地における住民主導の事例を取り上げ、生活環境について安全性、保健性、利便性、快適性、持続可能性の5つの観点から分析し、住環境の改善・保全・活用のための施策を検討しました。 東京都墨田区、岐阜県郡上市八幡、高蔵寺ニュータウンの3つの住環境整備の事例を取り上げ、実際に現場で取り組んでいる地方自治体関係者や地域住民の生の声を聞くことで、地方自治体と住民の協働手法を学びました。

  6. 総括:
    コース全体の総括を行い、各モジュールで学んだ地域開発の知識や手法を反映させながら、研修生が自らの職務における問題点や課題を解決していくため、「人間の安全保障に関する意識の向上、能力開発および行動計画策定(カンボジア)」や「ブータンにおける農村から都市への流入対策(ブータン)」などのアクションプランを作成し、発表を行いました。 作成にあたっては、他の研修生やUNCRDスタッフとの議論やアドバイスを参考に、より具体的で実行性の高いプランを目指しました。

このほか研修生は、開発の背景にある日本の生活・文化や日本人について知るため、東知多ロータリークラブによるフレンドシッププログラムにも参加しました。

研修修了時に実施した研修評価会では、研修生達からは「持続可能な開発についての理解が深まった」「講義や視察、ケーススタディを通じて学んだ日本や他の開発途上国の地域開発の経験は、自国の問題解決に大変役に立つと思う」といった感想や意見が多くみられ、研修目的は概ね達成されたとの評価を得ることができました。

UNCRDでは今後、研修生が作成したアクションプランの実現を支援するため、現地でのフォローアップセミナーの実施を計画しています。

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