第33回 地域開発国際研修コース (2005)
2005年05月19日 - 06月29日
東京、名古屋、兵庫など

UNCRDは2005年5月19日から6月29日まで第33回地域開発国際研修コースを実施しました。 この研修コースは、開発途上国で地域開発に携わっている政府や地方自治体等の中堅職員を対象に、地域開発戦略のための知識や技術の習得、ならびに日本を始め各国の地域開発経験の交流を図り、視野拡大の機会を提供することを目的として、毎年開催されているものです。 持続可能な地域開発の究極的な目標は、地域住民の福利厚生と安全を確保することです。このような目標は、地域に最も密着した地方自治体・地域社会・地域住民等が主体となり、適正な役割分担・協力体制を構築することを通じて達成されます。
国連地域開発センターでは、1971年の設立以来毎年春に本研修コースを実施していますが、第33回目を迎える今回のコースでは、「持続可能な地域開発」をテーマに、人間の安全保障、環境マネージメント、防災管理に焦点を当て、開発の課題と戦略を検討することによって、開発途上国の地方自治体等職員の能力の向上を図りました。 研修には、コロンビア、エチオピア、ケニア、ラオス、モンゴル、ミャンマー、ネパール、パキスタン、フィリピン、タイの10カ国10名に加え、協同研修生として名古屋港管理組合から1名が参加しました。
今回の研修では、6つのモジュールに分けて、講義、ディスカッション、ケーススタディ、さらには日本の経験、特に中部地方の実例に学ぶための現地視察を行いました。又、研修生自身もリソースパーソンとなり、自国における地域開発の課題や自らの職務に関する問題点、それらの解決に向けての取り組みについての発表を行い、より一層の知識や経験の共有化を図りました。 各モジュールの内容は以下の通りです。

  • モジュール1 概要:
    「持続可能な地域開発」「日本における地域開発」「社会開発と人間の安全保障に関する国連の課題」「持続可能な開発の観点からみた環境」等に関する講義の後、研修生間でディスカッションを行い、地域開発における課題を整理し問題解決のための方向性を検討しました。 また、愛知県庁、名古屋市役所、今年2月に中部国際空港が開港した常滑市役所、名古屋港管理組合を訪問し、地方自治体職員と意見交換を行いました。

  • モジュール2 環境マネージメント:
    持続可能な地域開発を推進するために不可欠な環境マネージメント、とりわけ3R(リデュース、リユース、リサイクル)、持続可能な生産と消費ならびに環境保全型交通体系に焦点を当て、その重要性を再確認した上で、具体的な施策や取り組みについて検討しました。 日本の事例では、名古屋市の廃棄物処理施設や民間のリサイクル工場では日本のごみ処理やリサイクルについて、トヨタ自動車(株)では環境負荷を減少させるための産業環境管理や環境保全型交通体系について学びました。

  • モジュール3 防災管理:
    兵庫県や神戸市での阪神淡路大震災の経験や教訓、震災後の防災・復興事業について学ぶため、兵庫県庁、神戸市役所、人と未来防災センター、アジア防災センター等を訪れました。 又、環境防災科のある兵庫県立舞子高校の生徒や災害援助関係のNGOと災害や防災について意見交換を行い、コミュニティレベルでの防災の重要性を再認識しました。

  • モジュール4 住環境整備:
    岐阜県郡上市八幡、高蔵寺ニュータウン、東京都墨田区での3つの住環境整備の事例を取り上げ、実際に現地を訪れ、それぞれの生活環境について安全性、保健性、利便性、快適性、持続可能性の5つの観点から分析し、住環境改善・保全・活用のための施策について検討しました。 又、地域ならびに住民主導の開発の重要性について考え、実際に現場で取り組んでいる地方自治体関係者や地域住民の生の声を聞くことで、地方自治体と住民の協働のための手法を学びました。

  • モジュール5 人間の安全保障:
    持続可能な開発を妨げる経済的、環境的、社会的、文化的な脅威に対してコミュニティの抵抗力を強化させるための人間の安全保障の概念についての理解を深め、そうした概念をいかに地域開発計画に組み込み実施するかについて学びました。 さらにはケーススタディを通じて、人間の安全保障の観点から自国の住民が直面しているさまざまな脅威の内容やその対応行動を分析し、コミュニティの抵抗力強化についての検討を行いました。

  • モジュール6 総括:
    コース全体の総括を行い、各モジュールで学んだ地域開発の知識や手法を反映させながら、研修生が自らの職務における問題点や課題を解決していくためのアクションプラン(行動計画)を作成し、その発表を行いました。 作成にあたっては、他の研修生およびUNCRDスタッフとの議論やアドバイスを参考に、より具体的で実行性の高いプランを目指した。例としては「プロジェクト計画、実施、マネージメントに関する地区レベル研修(エチオピア)」や「カトマンズ谷における廃棄物処理の強化(ネパール)」、「持続可能な生計のための女性グループの能力強化(タイ)」があります。


このほか研修生は、開発の背景にある日本の生活・文化や日本人について知るため、UNCRDボランティアによる日本語クラスや文化交流プログラム、東知多ロータリークラブによるフレンドシッププログラムに参加しました。 また、愛知県で開催されている愛・地球博を視察しました。

研修修了時に実施した研修評価会では、研修生達からは「人間の安全保障、環境や防災に関する知識が大いに深まった」「視察を通じて学んだ日本の地域開発の事例は、自国の問題解決に大変役に立つと思う」といった感想や意見が多くみられ、研修目的は概ね達成されたとの評価を得ることができました。 UNCRDでは今後、研修生が作成したアクションプランの実現を支援するため、現地でのフォローアップセミナーの実施を計画しています。

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