第32回 地域開発国際研修コース (2004)
2004年05月13日 - 06月23日
名古屋ほか

持続可能な地域開発の究極的な目標は、地域住民の福利厚生と安全を確保することであり、この目標は、地域に最も密着した地方自治体・地域社会・地域住民等が主体となって、適正な役割分担・協力体制を構築することで達成されます。第32回目となる今回の研修では、「持続可能な地域開発」をテーマに、人間の安全保障と環境マネージメントに焦点を当て、開発の課題と戦略を検討することによって、開発途上国の地方自治体等職員の能力の向上を図りました。研修には、カンボジア、コロンビア、インド、インドネシア、ケニア、ラオス、モンゴル、ネパール、スリランカ、ベトナムの10カ国10名に加え、協同研修生として日本から1名が参加しました。

今回の研修では、以下の6つのモジュールに分けて、講義、ディスカッション、ケーススタディ、さらには日本の経験、特に中部地方の実例に学ぶための現地視察を行いました。 研修生自身も講師となり、自国における地域開発の課題や自らの職務に関する問題点、それらの解決に向けての取り組みについての発表を行い、より一層の知識や経験の共有化を図りました。

  1. 概要:
    「持続可能な地域開発」「日本における地域開発」「社会開発と人間の安全保障に関する国連の課題」「持続可能な開発の観点からみた環境」等に関する講義の後、研修生は地域開発における課題とその解決案について検討を行いました。 また、愛知県庁、名古屋市役所、名古屋港管理組合を訪問し、地方自治体職員と意見交換を実施しました。

  2. 住環境整備:
    名古屋市有松、岐阜県郡上市八幡など4ヶ所を訪ね、それぞれの生活環境について安全性、保健性、利便性、快適性、持続可能性の5つの観点からの分析および住環境改善・維持の施策について検討を行いました。 又、地域ならびに住民主導の開発の重要性について検討し、実際に現場で取り組んでいる地方自治体関係者や地域住民との対話を通して、地方自治体と住民の協働手法を学びました。

  3. 環境マネージメント:
    持続可能な地域開発を推進するために、特に不可欠な持続可能な生産と消費ならびに環境保全型交通体系に焦点を当て、その重要性を再確認し、具体的な施策や取り組みについて検討しました。 日本の事例として、名古屋市のゴミ収集・処理やリサイクルについて、またトヨタ自動車(株)の環境負荷を減少させるための産業環境管理や環境保全型交通体系について学びました。

  4. 防災管理:
    兵庫県や神戸市での阪神淡路大震災の経験や教訓、震災後の防災・復興計画について学ぶため、UNCRD兵庫事務所、人と未来防災センター、神戸大学(COE/神戸フィールドスタジオ)等を訪問しました。 又、環境防災科のある兵庫県立舞子高校の生徒や災害援助をしているNGOと意見交換を行い、防災の重要性を再認識しました。

  5. 人間の安全保障:
    人間の生活を脅かす貧困、飢餓、失業、保健や医療へのアクセスの不足等の諸要因に焦点を当て、人間の安全保障の概念や人間の安全保障を重視した地域計画の立案・実施について学びました。 さらに演習を通じて、人間の安全保障の観点から自国の住民が直面している経済・社会・環境・文化的脅威の内容やその対応行動を分析し、住民の脆弱性に対処するための代替案を検討しました。 又、岐阜県、三重県の担当職員を招いて「地域開発における情報通信技術(ICT)の活用」についてパネルディスカッションを行い、ICT活用事例やその効果について議論しました。

  6. 総括:
    コース全体の総括を行い、各モジュールで学んだ地域開発の知識や手法を反映させながら、研修生が自らの職務における問題点や課題を解決していくためのアクションプランを作成し、その発表を行いました。 他の研修生およびUNCRDスタッフとの議論やアドバイスを参考に、より具体的で実行性の高いプランを目指し、「ゲル地区住環境改善のための住民参加型学習・行動計画(モンゴル)」や「持続可能な都市開発に向けてのポカラ市開発戦略(ネパール)」等のプランが作成されました。


研修後に実施した研修評価会では、「人間の安全保障や環境問題に対する認識が大いに深まった」「視察を通じて学んだ日本の地域開発の経験は、帰国後の実務の取り組みに大変役に立つと思う」といった研修生からの感想や意見が数多くみられました。UNCRDでは今後、研修生が作成したアクションプランの実現を支援するため、現地でのフォローアップセミナーの実施を計画しています。

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