第31回 地域開発国際研修コース (2003)
2003年05月15日 - 06月25日
名古屋ほか

UNCRDは、開発途上国の地域開発に携わる中央政府や地方自治体等の中堅職員を対象とした地域開発国際研修コースを毎年春に開催しています。この研修は、地域開発戦略のための知識や技術の習得、さらには日本を始めとする各国の地域開発経験の交流による視野拡大を目的としており、講義や現地視察、ケーススタディ、ディスカッション等で構成されています。

第31回目となる今回の研修は「持続可能な地域開発」をテーマに掲げ、コロンビア、グルジア、インドネシア、ケニア、ネパール、パキスタン、スリランカ、タイからの8カ国8名に加え、日本から協同研修生として2名が参加しました。

研修内容は、人間の安全保障と環境マネジメントに焦点を当て、以下の8つのモジュールにしたがって実施されました。

  1. 地域開発概論:
    「持続可能な地域開発とは」などをテーマに討論や発表を行い、地域開発における課題を整理し、問題解決のための方向性を模索しました。また、愛知県庁や名古屋市役所などを訪問し、日本の地方自治体職員と積極的な意見交換を行いました。

  2. 地域主導型地域開発:
    地域住民が主導する地域開発の重要性について認識を深めるため、有松地区(名古屋市緑区)で行われている歴史的街並みの保存活動や「東山の森づくり」活動(名古屋市千種区)を視察し、実際に活動に取り組んでいる地域住民や自治体関係者から、まちづくりの現状を学びました。

  3. 住環境整備:
    日本における住環境整備の3つの事例(横浜市港北ニュータウン、東京都墨田区、岐阜県八幡町)を視察し、住環境に関する4つの基本理念(安全性、保健性、利便性、快適性)に持続可能性を加えた5つの観点から分析するとともに、住環境の改善や維持のための施策について検討しました。

  4. 情報通信技術(ICT)と地域開発:
    地域開発におけるICTの活用による効果を、貧困改善、社会開発、組織能力の強化、民主主義の形成という観点から検証しました。また、三重県が取り組んでいるIT戦略やインターネットを活用した電子会議室について学び、地方自治体のICT導入効果について議論しました。

  5. 環境マネジメント:
    持続可能な地域開発のために不可欠な環境マネジメント、とりわけ「持続可能な生産と消費」に重点を置き、名古屋市のゴミ収集・処理システムや環境NGOによるリサイクル活動、トヨタ自動車(株)の環境負荷を減少させるための産業環境管理などの取り組みについて考察しました。

  6. 防災管理:
    兵庫県神戸市を訪れ、阪神淡路大震災後の防災・復興計画等について学びました。また、環境防災科のある兵庫県立舞子高校を訪れ、生徒と災害や防災に関する意見交換を行うなど相互交流を深めました。

  7. 人間の安全保障:
    人間の生活を脅かす諸要因(貧困や失業、保健医療等の社会サービスの不足など)に焦点を当て、人間の安全保障の概念とその重要性、さらには人間の安全保障を重視した地域開発計画の立案・実施について学びました。また、人間の安全保障の観点から、住民が直面している経済・社会・環境・文化的脅威の内容やその対応行動を分析し、脆弱性に対処するための代替案の検討を行いました。

  8. 総括:
    コース全体の総括を行うとともに、これまでに学んだ地域開発の知識や手法を反映させながら、研修生が自らの職務における問題点や課題を解決していくためのアクションプラン(行動計画)を作成し、その発表を行いました。「ジョグジャカルタ特別区における情報公開と住民の能力向上による環境保護」(インドネシア)や「人間の安全保障と環境の持続可能性を組み入れた貧困削減戦略実施のための能力開発計画」(ケニア)など、具体的かつ実行性のあるプランが作成されました。


研修終了後に研修生に対して行ったアンケートでは、「研修内容が実践的で帰国後の実務の取り組みに役立つと思う」、「視察を通じて学んだ日本の地域開発の経験は参考になった」といった感想が多く見られました。UNCRDでは研修生に対して、技術的なアドバイスや情報の提供などを今後も引き続き行うことで、研修生が作成したアクションプランの実施を支援していくことにしています。

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