一般公開セミナー「地域で進める持続可能な開発目標(SDGs)」を開催しました。 - 2017年03月17日
一般公開セミナー「地域で進める持続可能な開発目標(SDGs)」開催  

 UNCRDでは、2017年2月6日に名古屋ルーセントタワーにおいて、一般公開セミナー「地域で進める持続可能な開発目標(SDGs)」を開催しました。

 2015年に各国首脳により採択された新たな持続可能な開発アジェンダ(※脚注)に掲げられている17の目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成を目指すためには、国だけでなく地域からの底上げも必要になることから、本セミナーでは、持続可能な社会の実現に向け、この中部地域ではどのように取り組んでいったら良いのか、何ができるのかを考えました。

 UNCRD高瀬所長による冒頭挨拶の後、SDGsの指標作成に携われた国連経済社会局統計部次長の大崎(富田)敬子氏から、「SDGsの概要と実施状況」についてご講演頂きました。その中で、SDGsは前身のMDGsと異なり、途上国のみならず先進国も含むグローバルで広範な分野を対象とした「野心的」なものであるとされました。また、SDGsは17の目標・169のターゲット・230の指標から成り、MDGsと比べて大きく増加していること、とりわけ9つの目標についてはUNCRDが取り組む「地域開発」との関連も深いことに触れられました。

 さらに、ご自身の専門である数量データを使った目標設定とモニタリングに関連し、国連は毎年作成する報告書において世界の現況やトレンドを把握していくことにしており、「Leave no one behind(誰も取り残されない)」という考えの下で、社会的格差や弱者にも配慮しながら、国・自治体・企業・NPOなどが連携し、地元の資源を使って地元に適した対策を取っていく必要があると指摘されました。

 続いて行われたパネルディスカッションでは、名城大学外国語学部学部長・教授のアーナンダ・クマーラ氏をモデレーターとして、地域でSDGsを進めるためのアドバイスなどについて、大崎氏を始め、市民団体・環境省・大学から計4名のパネリストにそれぞれの立場から多面的に語って頂きました。

 まず、「動く→動かす」(GCAP Japan) 事務局長・SDGs市民社会ネットワーク事務局責任者の稲場雅紀氏は、ご自身も関わられた政府のSDGs実施指針について、パブリックコメントも考慮しながら多様なステークホルダーの参画の下で策定され、市民社会の理念が反映されたものになっていると話されました。また、指針の推進に向けても、NGO・NPO、自治体など地域のステークホルダー間の連携の重要性が明記されているなど、地球1個半分の暮らしをしている私たちが持続可能な1個分の暮らしに戻すためにも、地域での持続可能性について考えていく必要があると提起されました。

 次に、環境省総合環境政策局環境計画課課長補佐の竹谷理志氏は、国のSDGs実施指針では、自治体の役割として各種計画等にSDGsの要素を最大限反映することなどが明記されていると話されました。また、2015年9月に策定された、SDGs実施に当たっての企業向けガイドライン「SDG Compass」に触れられ、企業ごとにSDGsの目標・ターゲットに優先順位を付け、それらを踏まえた目標を設定し、本業への取込・ステークホルダーとの連携を目指すことが重要であると話されました。さらに、従来のCSRに止まらず、社会価値と企業価値の双方で共通価値を見出していくCSV(Creating Shared Value)や、財務指標以外も考慮するような投資家スタンスの変化ESG (Environment Social Governance)という概念も紹介されました。

 名古屋大学大学院国際開発研究科教授の藤川清史氏は、持続可能性には、経済面のみならず環境面、社会面(所得やジェンダー平等など)も重要であることを指摘されました。また、日本経済の持続性に関連し、今後の大幅な人口(若者)減少で予想される問題に対応していくため、スマイル曲線(サプライチェーンの各段階と付加価値との関係)を用いながら、研究開発や販売へ注力すべきとされました。さらに、経済成長を続けるアメリカを例にして、「よそ者」の留学生を積極的に受け入れることを提案されました。

 最後に、大崎(富田)敬子氏は、地震や水害などの災害は地域特有のものと考えがちだが、世界の様々な地域で起こっている普遍的なものであるので、SDGsの推進を目指し、ぜひ日本の経験や先進的な取組を国際的な場において発信してほしいと勧められました。

 今回のセミナーは、今後の事業活動においてSDGsへの理解が極めて重要になってくると思われる民間企業を始め、多くの方々にお越し頂くことで定員に達することとなりました。SDGsへの取組は始まったばかりですが、4名のパネリストから幅広くお話を伺うことで、今後の取組を考えていく良い機会になりましたなら幸いです。なお、セミナーでの質疑応答だけでなく、セミナー終了後もパネリストを囲んでの質問が途切れず、関心の高さが窺えましたので、今後もより多くの方々にこのような機会を提供していきたいと考えています。


2015年9月、各国首脳は次の15年間を見据え、新たな持続可能な開発アジェンダである「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」を採択しました。この2030アジェンダは、人間・地球及び繁栄のための行動計画として、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動など、17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げています。

<参考>:国連本部のサイト(英語)、又は国連広報センターのサイトをご覧ください
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