UNCRDセミナー

第17回UNCRDセミナー 生物多様性のもうひとつの理解

「川が教えてくれたこと」

2010年7月15日(木)
講師:阿部 夏丸(あべ・なつまる)
小説家、矢作川水族館・館長

【レポート】

国際連合地域開発センター(UNCRD)は、愛知県豊田市出身の小説家で、子どもの頃から親しんでいる地域の川・矢作川をこよなく愛する阿部夏丸氏を講師にお招きし、「川が教えてくれたこと」と題してセミナーを開催しました。

今回は、阿部さんが一緒に川遊びをした人々や、川でたくましく生きる生き物などの写真を参加者と一緒に見ながら進めていくセミナーとなりました。阿部さんの川遊びの仲間の多くは子どもたちで、彼らは「生物多様性」という言葉は知らなくても、川を通して自然やいのちと向き合うことで、その本質をしっかりと体得しているように見えました。また子どもたち以外にも、阿部さんが川で出会った様々な立場や年齢の人々の様子が、阿部さんの温かい目線を通した親しみやすい雰囲気の中で紹介されました。「川では子どもがおとなになり、おとなが子どもに返る」という阿部さんの言葉どおり、川に入ったおとなたちは皆子どもたちと同じように満面の笑みを浮かべており、生き物を追う姿は真剣そのもので大変印象的でした。

阿部さんの、川にまつわる人々のエピソードや、矢作川やその支流が自然や人の手によって変化し続けていることについての具体的なお話は、人が川へ入り、そのありようを自分の目や感覚で確かめることや、川はもとより、目の前にある自然のあるがままの姿をまずは好きになることの大切さを認識する貴重な機会となりました。

また、おとなはつい先回りして、子どもが身をもって学ぶ機会を奪いがちになってしまうことや、元々の姿を無視して見栄え良く自然を取り戻そうとすることを「環境保護」と考えてしまうことの不自然さ、川で遊んだ子どもは必ず川に帰ってくる、人は関わった川を気にせずにはいられなくなるなどの数々の言葉は、川で多くの人と多くの時間を過ごしてきた阿部さんならではのメッセージとなりました。

 

UNCRDセミナーは、国連の活動や今日的課題をより深く理解していただくため、学生、大学院生、社会人、自治体職員などを対象に開催されるセミナーで、第一線で活躍する専門家やUNCRD職員が教師を務めます。


【セミナー概要】

国際連合地域開発センター(UNCRD)は、愛知県豊田市出身の小説家で、地域の川・矢作川をこよなく愛する阿部夏丸(あべ・なつまる)氏を講師に招き、2010年7月15日(木)に標記セミナーを開催します。

子どもには「遊べ、たくさんの生き物と遊べ」。そして、子どもの頃、遊ばなかった大人には「今からでも遅くない、すぐ川に入って考えろ」というのが、夏丸氏の持論です。「子どもに環境問題を背負わせるな」という夏丸氏の川での取り組みをお話し頂きます。

私は幼い頃から魚が好きで、日本各地の川からアマゾン川まで旅をしてきました。しかし、最近は、どっぷりと矢作川とその支流に腰を浸け、子どもたちと遊んでいます。地元の川の面白さと大切さに気がついたのは「美しい女優もいいけれど、家の女房も捨てたもんじゃない」という心理に似ています。ここは、私が生まれ育ったふるさとの川、私を育ててくれた川なのです。清水が湧き、ドンコやタナゴを釣った小川はコンクリートで固められてしまいましたが、橋の上から川をのぞき見るだけの人たちに、だめな川とは言わせません。だって、この景色はそのままぼくを育ててくれたふるさとですし、ともに遊ぶ子どもたちのふるさとになるのですから。
「環境を守りましょう」という目ざわりな看板を立てる大人たちが嫌いです。「自然を守るのだ」と議論ばかりをし、川に入らない大人も私は信用しません。「昔はよかった」と愚痴をこぼす前に、今ある川の面白さを見直しませんか?
生物多様性は理想や目的ではなく、川(土地)の歴史と今ある川の個性だと考えています。

「川が教えてくれたこと」
講 師 阿部 夏丸 (あべ・なつまる)
小説家、矢作川水族館・館長
日 時 2010年7月15日(木) 18時45分〜20時15分
場 所 名古屋国際センタービル 5階 第一会議室
〒450-0001名古屋市中村区那古野1-47-1
(地下鉄桜通線「国際センター」駅すぐ)
主 催 国際連合地域開発センター、国連センター協力会
参加費 無料
その他 定員70名。先着順。

【講師略歴】

阿部 夏丸 (あべ・なつまる) 小説家、矢作川水族館・館長

1960年、愛知県豊田市生まれ。デビュー作『泣けない魚たち』で、坪田譲治賞、椋鳩十児童文学賞をW受賞。『オタマジャクシのうんどうかい』で、ひろすけ童話賞を受賞する。執筆活動のかたわら、毎日のように川へ出かけ、子どもを含めた水辺の生きものと遊ぶ。無類の魚好きで、市民団体『矢作川水族館』では館長を務めている。

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