専門家会合「2030年に向けた持続可能な地域開発」ー UNCRD設立45周年記念事業
2016年08月30日 - 08月31日
名古屋市

2015年のミレニアム開発目標(MDGs)の終了を引き継ぐ形で新たに採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(2030アジェンダ)」は、人間、地球及び繁栄のための行動計画として、17の目標と169のターゲットから成る持続可能な開発目標 (SDGs) を掲げており、日本を含めた全ての国連加盟国がこのSDGs達成のために努力することに合意しました。

この新しいアジェンダの採択を受けて、UNCRDは今後の運営方針を独自にまとめることになり、UNCRD設立45周年記念事業を機に専門家会合を開催しました。会合には、UNCRDの元職員をはじめ各分野の専門家及びUNCRDの職員ら22名が参加しました。UNCRDの元研修生を含め国内外から延べ100名がオブザーバーならびに聴衆として参加しました。会合では、今後も地域開発を進めていく行くにあたり重要だと思われる以下の4つの課題について討議が行われました。

セッションI:リージョナル・エンパワメント、ガバナンス、制度改革‐統合的地域開発計画を持続可能な開発に結び付けるために‐
セッションIでは、統合的地域開発計画(IRDP)をより効果的に持続可能な地域発展に結び付けていくための方策について討議が行われました。林家彬氏(中国国務院発展研究中心シニアリサーチフェロー)・譚縦波氏(清華大学建築学院教授)の両氏からは「中国の都市問題における体制上の原因とその対策に関する研究」、アーナンダ・クマーラ氏(名城大学教授)からは「観光産業における参加型アプローチによる持続可能な地域開発〜スリランカの事例研究から学べること」、モデレーターも務める福島茂氏(名城大学副学長・教授)からは「リージョナル・エンパワメントと開発にむけて学ぶ地域」と題する発表が行われました。

セッションU:持続可能な開発目標(SDGs)と地域開発の社会的側面
セッションUでは、岡田亜弥氏(名古屋大学副理事・教授)がモデレーターを務め、SDGsにおける地域開発の社会的側面、特に包摂的社会の構築や「誰一人取り残さない」開発に焦点を当てた討議が行われました。スミタ・スリニヴァース氏(インド人間居住研究所経済開発スクールヘッド)は「地域開発の社会的側面」について、青山温子氏(名古屋大学大学院教授)は「都市貧困層に関する新たな健康アジェンダ」について、穂坂光彦氏(日本福祉大学教授、アジア福祉社会開発研究センター長)は「包摂的開発にむけたコミュニティーの活性化―中間的な社会空間の創設」について、トゥリ・リスマハリニ氏(インドネシア・スラバヤ市長)はSDGsに向けたスラバヤ市の具体的な取組みについて、それぞれ発表を行いました。

セッションIII:持続可能で包摂的かつ強靱な地域・都市づくり
セッションIIIでは、小川雄二郎氏(防災インターナショナル代表)がモデレーターを務め、持続可能で包摂的かつ強靱な地域・都市づくりについて、自然災害に対するレジリエンスの観点から討議が行われました。王徳氏(同済大学教授)からは「都市空間分析をサポートするビッグデータ 携帯電話のシグナルデータを使った上海の事例」について、スヘー・バトトルガ氏(モンゴル国立大学教授)からは「モンゴルにおけるレジリエンスー伝統的な遊牧社会とリスクの高い近代都市」について、稲村哲也氏(放送大学教授)からは「文化人類学の観点からのレジリエンス」について、安藤尚一氏(元政策研究大学院大学教授)からは「いかに災害を防ぐのかー最近のアジアや日本の事例から」について、ジェリー・ベラスケス氏(災害に強い都市の構築キャンペーンコーディネーター、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)アドボカシー・アウトリーチ・セクションチーフ)からは「持続可能で、レジリエントかつ包摂的な都市―仙台防災枠組、SDGs、パリ協定、ニュー・アーバン・アジェンダのためのレジリエントな根拠」について、それぞれ発表が行われました。

セッションW:地域開発と民間企業の役割−持続可能で強靭なまちづくり
セッションWは、持続可能な社会形成に欠かせない民間企業の役割、特に官民連携やより多くのステークホールダーとのパートナーシップ構築、また民間企業の持続可能な活動を促すような政策について討議が行われました。セッションのモデレーターも務めるチャウドリー・ルドラ・チャラン・モハンティ氏 (UNCRD環境プログラムコーディネーター) からは「持続可能でレジリエントなまちづくりにおける民間セクター」と題して、太田稔彦氏(豊田市長)からは「環境先進都市を目指して」と題して、ヴォーン・レヴィッツキ氏(グリーン・インダストリーズ南オーストラリア最高責任者)からは「官民連携―南オーストラリアの場合」と題して、松本忠氏(経済協力開発機構(OECD)プロジェクトマネージャー)からは「持続可能で強靭なまちづくりにおける民間セクターの役割」と題して、谷口寧氏(中日本高速道路株式会社)からは「日本の官民連携のショーケースとしての高速道路ビジネス」と題して、それぞれ発表が行われました。

セッションT〜Wの総括
梶秀樹氏(第4代国際連合地域開発センター所長)がモデレーターを務めて、専門家会合の総括が行われました。まずセッションごとに分かれ、各セッションのまとめについての討議が行われました。その後、モデレーターによる各セッションの統括についての報告がありました。またUNCRDの今後の方針については、以下のような提言がなされました。

テクニカルツアー
専門家会合において、豊田市の太田稔彦市張より紹介のあった低炭素社会の実現に向けた官民連携によるさまざまな取組みについて、さらに理解を深めるため、専門家会合参加者は、次世代の環境技術や交通システム、低炭素な暮らしなどが体験できる「とよたエコフルタウン」を視察しました。まずは中核施設のパビリオンで、「とよたエコフルタウン」の概要説明を受けました。次に、超小型電気自動車などの貸出拠点となっているスマートモビリティパーク、HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)や、太陽光発電、蓄電設備を兼ね備えたスマートハウスを見学しました。続いて、燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションへ移動、製造・貯蔵設備を見学し、水素製造の過程や燃料電池自動車などについての説明を受けました。また、燃料電池自動車「MIRAI」や立ち乗り型乗り物「winglet」といった電動モビリティを実際に体験することもできました。テクニカルツアーの参加者は、「市の取組みを市民にわかりやすく伝えるための拠点である一方、新しい産業振興の拠点にもなるすばらしい施設である」と感想を述べました。



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